実は、Geldだけではない お金の表現がドイツ語にはたくさんあります。
日本語だと、お金はお金としか言いませんよね。
ですが、ドイツ語にはGeldだけではなく、色んな言い方があります。
今回は、ドイツ語で「お金」を意味する13個もの表現・その由来について、詳しく解説します!
Contents
Kohlen《お金》
- die Kohle (f.) 《単数》炭、石炭、木炭
- Kohlen《複数》お金
Kohle は「炭、石炭、木炭」といった意味がありますが、複数形の Kohlen になると「お金」という意味にもなります。
これは、話し言葉で使われます。
19世紀、ヨーロッパでは石炭 (Kohle) が経済で重要な役割を果たしました。
蒸気機関車ができたからです。
蒸気機関車を動かすのに必要な燃料が石炭 (Kohle) でした。
そこから、いつの間にか「石炭を持っている」が「お金を持っている」と同じ意味を持つようになり、現在にも話し言葉として Kohlen (お金) という意味が残っていると言われています。
Asche《お金・小銭》
- die Asche (f.)《単数》灰、燃え殻、お金、小銭
( Aschen《複数》で使われることはほとんどない)
Asche は「灰、燃え殼」といった意味があります。
これも「お金、小銭」という意味で、話し言葉で使われます。
Kohlen (石炭) からも想像がつくかと思いますが、Asch (灰) は Kohlen (石炭) の細くなったものなので、「小銭」といった意味もあるんですね。
このAsch の由来もKohlenと同じく、19世紀に蒸気機関車が発明されたことで、その燃料となる石炭が経済において重要な役割を果たしたことから、「お金」といった意味を持ったと言われています。
Knete《お金》
- die Knete (f.) 《単数》(工作用の) 粘土、お金
《複数形なし》
Knete は「粘土」という意味ですが、話し言葉で「お金」という意味もあります。
Knete には 複数形はありません。
Knete (粘土) は自由に形を変えられ、お金も物を買うことによって 色んなものに形を変えられることから、Knete と呼ばれるようになったのではないか、と言われています。
Knete の「お金」という意味は、1980年代頃に詐欺師の間での隠語として使われるようになったのが始まりだと言われています。
街中でお金のことについて話す時に、一般人にお金の話をしていると悟られないよう、Knete (粘土) が使われていて、それが広まり現代にも残ったのではないか、という説があります。
Moneten《お金、小銭》
- die Moneten 《複数のみ》お金、小銭
これは ラテン語の moneta (お金) が由来の言葉で、英語の money と同じ由来の言葉です。
英語では money は書き言葉でも話し言葉でも、広く使われますが、ドイツ語のMoneten は 話し言葉で使われます。
Piepen《お金》
- die Piepen 《複数のみ》お金
Piepen は複数形のみの単語で「お金」を意味します。
主に話し言葉で使われます。
Piepen の由来は、コインにワシの絵があったことから、ベルリンの方言でコインのことをPiepmatz (「ピー子ちゃん」小鳥の愛称) と呼んでいて、それが短縮されて Piepen となったと言われています。
ちなみに、動詞の piepen は
- (ひな鳥やネズミなどが) ピヨピヨ、チューチュー鳴く
- (ポケットで) スマホなどの通知音が鳴る
といった意味があります。
Moos《お金》
- das Moos《単数》苔(こけ)、お金
Moose《複数》
Moosは「苔」という意味ですが、話し言葉では「お金」といった意味もあります。
「お金」という意味のときは、単数形 Moos を使います。複数形はありません。
由来は、ヘブライ語のma`ôt (コイン) という言葉から派生したと言われています。
Mäuse《ユーロ/マルク(通貨単位)》
- die Maus (f.) ネズミ、マウス
Mäuse《複数》ユーロ/マルク (通貨単位)、(お金)
Mausはネズミ、マウスといった意味がありますが、複数形 Mäuse だとユーロ/マルクといった通貨単位の意味があります。
また、昔は「お金」という意味でも使われていましたが、現代では通貨単位「ユーロ」として使われることがほとんどです。
これは、話し言葉で使われます。
Mäuse の由来は Moos(苔) と同じく、ヘブライ語のma`ôt (コイン) という言葉から変化したと言われています。
また、コインが ネズミ色 (グレー) をしていることから、Mäuse と呼ぶようになったという説もあります。
Kröten《はした金、小銭、通貨単位》
- die Kröte (f.)《単数》ヒキガエル、小娘、おてんば、意地悪な人
Kröten《複数》はした金、小銭、ユーロ/マルク(通貨単位)
Kröte は「ヒキガエル、小娘、おてんば、意地悪な人」といった意味がありますが、複数形 Kröten で「はした金、小銭、ユーロ/マルク(通貨単位)」という意味もあります。
Kröten も話し言葉で使われます。
由来は、低地ドイツ語のGröschen (Groschenの複数形・昔の硬貨) が変化して Kröten を「お金」という意味で使うようになったと言われています。
Penunzen《お金》
- die Penunze (f.)
Penunzen《複数》お金
Penunzen は「お金」という意味で、話し言葉で使われます。
ほとんど複数形で使われます。
Penunzen は、ポーランド語の「pieniądze」(お金) が由来だと言われています。
Kies《大金、お金》
- der Kies (m.)《単数》砂利、大金、お金
Kiese《複数》
Kies は「砂利」という意味がありますが、その他に単数形で「大金、お金」という意味もあり、特に「大きな額のお金」として使われることが多いです。
砂利がコインの色に似ていることや、昔は石がお金の代わりとして使われていたことが由来だと言われています。
Schotter《大金、お金》
- der Schotter (m.)《単数》石、砂利、川原石、玉石、大金、お金
Schotter《複数》
Schotter も「石、砂利」といった意味があり、単数形で「大金、お金」という意味も持っています。
Schotterも Kies と同じく「大きな額のお金」として使われることが多いです。
由来も Kies と同じで、砂利の色がコインの色に似ていたことから、「お金」という意味になったと言われています。
Zaster《お金、現金》
- der Zaster (m.)《単数》お金、現金
《複数なし》
Zaster は「お金、現金」という意味があります。
主に話し言葉として使われます。
複数形はなく、常に単数形 Zaster で使われます。
Zaster は、ロマーニー語の sáster (鉄) から由来していると言われています。
Blüte《偽札》
- die Blüte (f.)《単数》花、開花、吹き出物、にきび、ぶつぶつ、役立たず、偽札
Blüten《複数》
Blüte は「花、開花、吹き出物、にきび、ぶつぶつ、役立たず」といった意味がありますが、「偽札」という意味もあります。
単数形 Blüte・複数形 Blüten の両方使えます。
「偽札」の類義語として das Falschgeld がありますが、Falschgeld はお札・硬貨の両方を指しますが、Blüte の場合はお札のみを表します。
Blüte (偽札) は、お金を偽造するときに使っていたブリキ板のことを、中高ドイツ語で Blate と呼んだことから由来したと言われています。
まとめ
- Kohlen《お金》
- Asche《お金・小銭》
- Knete《お金》
- Moneten《お金、小銭》
- Piepen《お金》
- Moos《お金》
- Mäuse《ユーロ/マルク(通貨単位)》
- Kröten《はした金、小銭、通貨単位》
- Penunzen《お金》
- Kies《大金、お金》
- Schotter《大金、お金》
- Zaster《お金、現金》
- Blüte《偽札》
いかがでしたか?
こんなにたくさんの表現があるなんてビックリですよね。
これらの表現は話し言葉に使われることがほとんどです。
もともとは詐欺師や悪党の仲間内で使われていた隠語でしたが、それがいつの間にか一般人の間にも広まり、現代の言葉としても残ったと言われているものが多いです。
言葉の歴史を知るのは面白いですよね😊
こんなふうに、由来と一緒に単語に触れると 記憶に残りやすくなります💡
この記事がみなさんの記憶にちょっとでも残れば嬉しいです🌷